KONAMI
  − Z.O.E  −


〜体験版〜

 コナミリリース、MGS2の監督“小島氏”がプロデュースするロボットアニメシミュレーターがZ.O.E(Zone of Enders)だ。

 プレーヤーは22世紀、約150年後の太陽系を舞台に、オービタルフレームと呼ばれる機動兵器を操ることとなる。

 ロボットアニメと銘打つだけあり、キャラクター設定とかはかなりガンダムしているのも特徴(VガンとかXガンとか)。
プレーヤーはシンジに成りきるもよし、アムロに成りきるもよし、「逃げちゃダメだx3」「迂闊だ!」「アムロ行きますっ!」と叫びながらプレイしてゲームにはまりきろう(笑)。

 このdemoは序盤のほんの触りと、それに付随するチュートリアルをプレイできるのだが、ゲームをスタートして操作方法も何も解らないのにいきなり戦闘になったときには驚かされた。

 方向キーで機体が動かないので、でたらめにボタンを押しまくってクリアできたのだが、スティックで前後左右、△×で上下という組み合わせは慣れるのに少々手間取るかもしれない。

 しかし比較的少ない操作でかなりアクションが取れるし、ロックオンが有るお陰でターゲットを逃すことが無く、爽快にプレイできるのがとても良い。

 ダッシュ攻撃と通常攻撃が違ったり、バースト攻撃、投げ攻撃が合ったりで進化型ヴァーチャロンとも言える操作感になっている。

 個人的に、PS2でプレイしたアーマードコア2やガンダムより、遙かにユーザーフレンドリーでよく考えられている操作系だと感じた。

グラフィックスも派手で綺麗だし、これはもうロボットアクション好きなら買うしかないでしょ!? という印象である。

 ただどうしても気になるのが2Dアニメを3Dに無理矢理起こしたようなフィギュアチックな3Dキャラで、別にキャラまで3Dにしなくても・・・と思うことしきりである(笑)。


〜製品版〜

 製品版を起動して驚いたのは、KONAMIのサイトで公開していたムービーがそのままオープニングだったという事だ。

 ゲームを開始すると今まで雑誌等で公開されていたストーリー通りの展開が、独特な3Dキャラクターによって演出される。
これが思いの外違和感を感じさせてしまうもので驚いた。そのためちょっと冷めてしまうのを感じたが・・・(笑)。

 KONAMIはMGS2やSoMで実証されている通り、リアルタイムポリゴンによる3Dキャラでも十分な品質をだせるだけの技術を持っていると思うので、このフィギュアチックな造形は意図した物のような気がするのだが・・・

 最初から最後まで違和感を感じてしまったので、これならミッション中は3Dで良いのでそれ以外は2Dアニメーションで演出した方が良かったのでは無いだろうか。

 実際このゲームはOVAとしてもリリースされているし、TVアニメとしても公開される事になっているのだから・・・

 ストーリーに関して述べるために最後まで通してみたのだが、これがまた何ともクサイものになっている(^^;
ロボットアニメ的王道路線といえばそうなのだろうが、見ていて少々寒いシーンが有った。

 また前半の引きが比較的長いのに対し、後半の爪が甘いというか煮詰められていないのが気になった。
これはプレイした人じゃないと意味が分からないと思うが、ネイト戦からエンディングまでの展開が短い。尻切れトンボに近いものが有る。

 もし制作者がヴァイオラストーリーに重きを置くのでなければ、さらにその後ヴァイオラの上官との絡みを持たせた方が良かったのでは無いか。

 またエレナやロック、さらにセルヴィスの事すら殆ど語られていないのはなぜ?

 これが例えばガンダムの様に、既にストーリーが完成している題材を元にゲームを造っているのであればまだ解るが、アニメの方が後発という事情のこのゲームにとって、このストーリーの語られ無さは致命傷に成り得ると思う。

 では実際のゲームプレイ、ロボット戦についてはというと体験版では感動したセミオートとも言えるバトルシステムが、実際の製品版ではプレイを単調なものにしている原因となってしまっている。

 ゲームは基本的に各ステージの雑魚を掃討、アイテム取得、人命救助、ボス戦という感じで進むのだが、ロボットバトルが簡略化されすぎている為にバトル自体に味が無く単純作業となってしまっている。

 もしテンポよくストーリーが展開して行くなら、まだこの簡略化されたバトルは意味が有るのだろうが、ストーリー自体も前述のようにあまり良くないので、ゲーム自体が浅く感じてしまうのだ。


 思いついた欠点ばかりを書き連ねてしまったが、このソフトにはメタルギアソリッド2の体験版が抱き合わせられていることを忘れてはならない(笑)。

 例えZ.O.E自体のボリュームが浅くても、この体験版自体のインパクトがとても大きいために、このパッケージ全体の評価は悪い物では無いのだ!

 逆にもし体験版が付属して居なかったなら、がっかり度は大きかったと言える・・・

 とは言っても私が辛口に評価してしまったのは、あまりにも自らの中で前評価を高めすぎてしまったためであって、恐らく先入観無しでプレイしたなら、もっと評価は違っていただろう。

 実際冷静に考えると、Z.O.Eは+-ゼロ、普通レベルの評価を与えられるゲームだと思う。
私の評価を見ただけで“買わないでおこう”と思う事は是非とも避けて頂けたらと思う。


 こういうシステムを生かし切っていないストーリーを採用したゲームを見ていると、シャドウオブメモリーズの様にシステムの良さをストーリーが最大限に生かしているゲームは今だ貴重であることが解ってくる。

 Z.O.Eもストーリー次第でもっと高い評価を受けたのではと思われ、残念でならない。




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